48. 関 本陣 早立(東海道五十三次:歌川広重)

日の出を間近にひかえた早朝

 現在の三重県亀山市。関の宿は、昔、鈴鹿関があったところ。鈴鹿の関は、畿内にある逢坂の関、不破の関と並んで三関といわれた。本陣とは参勤交代の大名が宿場で宿泊するところをいう。本陣には宿場の有力者の家があてられた。本図はその本陣を早朝に出発する様子を描いている。大勢の人数を従えた大名行列の移動は大変で、まだ明けやらぬ早朝の暗いうちから出立の準備があわただしく始まる。支度をする駕籠かきの表情が豊かで、手前の立て札の画面をはみ出す仕掛けも面白い。陣幕には定紋が張り巡らされているが、これは広重の実家、田中家の文字を組み合わせたものである。二本の槍と札棹が全体を引き締めている。濃い灰色の濃淡と黄緑色の配色は、日の出を間近にひかえた早朝の雰囲気を伝えている。

〈参考サイト〉

知足美術館「関 本陣早立|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/47_seki/

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 関 本陣早立 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04368/

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 関 本陣早立」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige060?srsltid=AfmBOorrCTBhcW47TXEFL46IFD__HJoeUxe-97LGBBqRq5-llo3b_Apv

関連記事

arrow_upward