45. 石薬師 石薬師寺(東海道五十三次:歌川広重)
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初冬の平凡な農村風景
現在の三重県鈴鹿市。遠景に大きく描かれた山々。そのなだらかな山容と色彩が美しい。東海道をはずれた中央の三つの山は、遠近を色彩で分け、ぼかしを用いている。山のふもとに見えるのが眼病治癒で有名な石薬師寺である。奈良朝に建立されたという石薬師寺をはじめ、石薬師はヤマトタケルなど古代の伝承の地。田んぼの畔道を突き当たると寺の立派な山門があり、その右手に宿場が広がっている。田んぼではすでに稲刈りが終わっており、周囲の木々が色づいていることからして、季節は晩秋から初冬あたりと思われる。時間帯は夕暮れであろうか、山里にはひと仕事終えたようなのんびりとした時間が流れている。ここより京都まであと三日。
〈参考サイト〉
アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 石薬師 石薬師寺」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige057?srsltid=AfmBOopDRFOv3sa75kRHvZ5wb5oSEqnv_n92gbQ83ouQfv7Ef39fRQbx)
知足美術館「石薬師 石薬師寺|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/44_ishiyakushi/)
東京富士美術館「東海道五拾三次之内 石薬師 石薬師寺 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04365/)
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