44. 四日市 三重川(東海道五十三次:歌川広重)

風の強さ

 現在の三重県四日市市。三重川は現在の三滝川とみられ、左奥の集落の向こうに立つ帆柱からこの辺りがその河口付近であることが分かる。まず目に飛び込んでくるのは、風に激しく煽られる柳とその根元で風に翻弄される男の姿であろう。吹き飛ばされた笠をあわてて追いかける仕草と表情は何ともユーモラスである。画面右にも強風の中、慎重に歩を進める旅人の姿が見える。二人の旅人の様子や柳枝のしなり具合からも、この地方の風の強さがわかります。広重の作の中でも風の動きを着眼した珍しい作品といえる。東海道五十三次のなかでも秀作として評価の高い作品。高度成長期を経た現在の四日市からはこんな風景は想像できない。

〈参考サイト〉

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 四日市 三重川」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige056?srsltid=AfmBOorsGLIGe2-JkEV4UqNF7tifNd9tQLHrch7NMNhgQI6vqupPfYVQ

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 四日市 三重川 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04364/

知足美術館「四日市 三重川|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/43_yokkaichi/

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