43. 桑名 七里渡口(東海道五十三次:歌川広重)
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七里の渡し
現在の三重県桑名市。宮から桑名までは海路で7里(約28キロメートル)の距離があり、そこを渡す船は「七里の渡し」と呼ばれた。海に大きく突き出た城は桑名城である。2艘の船は帆を降ろし、右下に見える陸地へ今まさに着岸せんとしている。旅の疲れを癒し、のんびりとした気分に浸るうち、桑名城のやぐらが目に入る。城下は、18世紀後半に幕府の許可のもと米市場が開設されて以来、江戸・大坂の相場を左右するほど商業の盛んな地となった。船の帆柱の縦のラインと水平線および城の石垣による横のラインを軸に、手前に波に揺れ動く船、奥に整然とした海と堅牢な城を配して、全体的に調和のとれた構図が作り上げられている。船を精一杯引き寄せて描き、手前の波の様子からは水が船にあたって出す音や、船の揺れが感じられる。
〈参考サイト〉
アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 桑名 七里渡口」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige055?srsltid=AfmBOoopw40cjwcPIlNBEKvnDSukbNmL_3LcWCXPC5BQQUDkImr0g7op)
東京富士美術館「東海道五拾三次之内 桑名 七里渡口 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04363/)
知足美術館「桑名 七里渡口|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/42_kuwana/)
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