鳴海絞り・有松絞りの産地

　現在の愛知県名古屋市緑区。鳴海の名物であり地場産業でもあった有松絞りに因んだ図。鳴海と有松は近隣の町で、木綿に絞り染めをした浴衣の生地が盛んに生産されていた。街道沿いに建つ2軒の店はいずれも有松絞りを商う店である。2階建ての立派な蔵造りの店構えはこの村がいかに有松絞りで潤っていたかを窺わせる。建物や樹木を暗く着色し、地面も単純に描き、店の中に目が行くように描かれている。手前の店を見ると客人が腰をかけ店主と何やら話にふけっており、暖簾には広重の「ヒロ」の組み合わせた家紋があしらわれている。2組の旅人たちはこうした店には目もくれず歩みを進めている。

〈参考サイト〉

知足美術館「鳴海 名物有松絞｜東海道五十三次」（https://chisoku.jp/tokaido/40_narumi/）

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 鳴海 名物有松絞」」（https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige053?srsltid=AfmBOop3pbTpHL_s3E75QgH4auhpz2B5Cv_ZLwDPHqEcM_MCYUREr7G7）

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 鳴海 名物有松絞 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」（https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04361/）