35. 吉田 豊川ノ橋(東海道五十三次:歌川広重)
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四橋のひとつ豊川橋
現在の愛知県豊橋市にあたる。眼下の豊川に架かる豊川橋は長さ200メートルにおよび、吉田大橋とも呼ばれた。豊川から伊勢へ行く早船が出ており、陸路を行くよりも三日も早く着くと、いつも満船だったと伝えられている。画面右に配されるのは吉田城の天守閣であり、城には升目状に足場が組まれ、左官職人が壁の補修を行っている。戦国時代に、この地に今橋城が築城されて城下町になり、後に譜代大名の努力もあって栄えた。上に目をやると場違いにも鳶職人が一人、遠くの景色を楽しんでいる。題材を手前に配置し、奥の景色と対比させる手法は、広重が得意とするものだが、ここでも画面に遠近感と興趣をもたらす絶妙な効果を生んでいる。対岸の甍が整然とした町の様子を表わしている。上半分を空にして、水面をさらに広く表現している爽やかな絵。
〈参考サイト〉
知足美術館「吉田 豊川橋|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/34_yoshida/)
アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 吉田 豊川橋」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige047?srsltid=AfmBOorsF2_uXU8IEANLPJcNkTED3DppuLwjWKOOvJdmPJn2BNoKA4Ak)
東京富士美術館「東海道五拾三次之内 吉田 豊川橋 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04355/)
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