33. 白須賀 汐見阪図(東海道五十三次:歌川広重)

西国から東国へ向かう旅路においては、はじめて富士山が見える場所

 現在の静岡県湖西市。白須賀宿への道中、汐見坂からは遠州灘の絶景が臨まれた。白須賀という地名の由来は「白い砂州の上に開けた集落」であるという。手前の下半分を半円状にくり抜いたように丘陵を描き、その奥の坂道を大名行列の一行が列をなして進む。遠景には真一文字に水平線が引かれ、海上には大名行列と呼応するかのように舟が浮かぶ。行列の一行が担ぐ荷物の中の赤い2つの狭箱には、広重の「ヒロ」を表す紋様があしらわれており、こうしたさりげないところに広重の遊び心が垣間見える。峠の上から遠州灘を一望できる潮見坂は、西国から東国へ向かう旅路においては、はじめて富士山が見える場所となる。の宿場は渥美半島の村々へ通ずる道の出発点でもあり、賑わっていた。画面の左右にバランスよく坂や松が描かれている。その間に藍をぼかした遠州灘を描くという見事な構図。

〈参考サイト〉

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 白須賀 汐見阪」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige045?srsltid=AfmBOoqVihRNlcE4Q1jEDOw-1uhEXZvOf7eg2dYcdy528Fuyfx5T4kA1

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 白須賀 汐見阪図 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04353/

知足美術館「白須賀 汐見阪図|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/32_shirasuka/

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