30. 浜松 冬枯ノ図(東海道五十三次:歌川広重)

荒涼とした冬景色

 現在の静岡県浜松市中区。街道脇の大きな杉の木の根元で、焚火をしながら暖をとる旅人たち。焚火から立ちのぼる煙が黒から白へ変化している様子も良く捉えている。遠くに浜松城を望む荒涼とした冬景色を、大きな立ち木と天へと伸びる焚き火の煙とで二分した大胆な構図の作品。刈入れの終わった田んぼに立て札の立つ松林があるが、これは「颯々松」と呼ばれた旧跡で、その昔、将軍足利義教が松の下で酒宴を催した際に「浜松の音はざざんざ」と謡ったことで有名になったという。右奥に見えるのが浜松の宿場で浜松城の天守閣も見える。浜松城は、若き徳川家康が居城としていたところから、出世城として譜代大名の憧れの城であった。画中右奥に見えるのが浜松の宿場。

〈参考サイト〉

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 濱松 冬枯ノ図 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04350/

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 濱松 冬枯ノ図」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige042?srsltid=AfmBOoqNPXT6Jkiy-hWrVzBYvOOEWjZGnVSKLw64dS1roPqDF4dBMiGh

文化遺産オンライン「東海道五拾三次之内 30 濱松《冬枯ノ図》」(https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/246720

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