29. 見附 天竜川図(東海道五十三次:歌川広重)
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霞にけむる遠影の拭きぼかしの技巧
現在の静岡県磐田市。ここが東海道の旅路のちょうど中間地点。天竜川の渡舟の様子が描かれている。天竜川の東岸に見附の宿場があった。天竜川は、長野県の諏訪湖に源を発し、氾濫を繰り返してきた暴れ川。天竜川の水は川瀬を2つに分け、東を大天竜、西を小天竜と呼んだ。しかしこの図では、川面は穏やかで、霧に包まれた静かな朝の風景が広がっている。画面手前が小天竜、奥が大天竜である。朝のまだ早い時間帯であろうか。遠景にはぼかしの技法を使い、朝霧にむせぶ天竜川の叙情をよく表現している。中州の向こうでは大名行列が何艘かの舟に乗り分けて、大天竜を渡り始めている。手前では渡舟を終えた船頭たちが一息つきながらその様子を眺めている。
〈参考サイト〉
アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 見附 天竜川」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige041?srsltid=AfmBOooqFZ4NCafiibeMoY-bNzr4lJEIayx0dHK_jHMw7e0lGXrwmDo8)
東京富士美術館「東海道五拾三次之内 見附 天竜川図 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04349/)
知足美術館「見附 天竜川図|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/28_mitsuke/)
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