28. 袋井 出茶屋ノ図(東海道五十三次:歌川広重)

出茶屋で一服

 現在の静岡県袋井市。四方を丘に囲まれた袋状の土地に大きな井戸があったので袋井といわれてる。街道の大きな樹の木陰に、葭簀張り(よしずばり)の屋根で覆われた出茶屋があった。「出茶屋」は葦簀などを使った簡易な作りの茶屋で、道端で旅人が休憩できる憩いの場であった。身をかがめ、石を組み合わせたかまどで火を起こしているのが、この店の主人。木の枝から吊るされた薬缶で湯を沸かしている。使い込まれた薬缶は底が墨で真っ黒になっている。主人の左側には、駕籠かきの一人がかまどから火を貰って一服しようとしている。左側の縁台で腰掛けて休んでいるのは飛脚であろう。煙の表現には、絵の具をつけずに版木を摺って和紙の表面に凹凸を生む「空摺(からずり)」の技法が用いられている。

〈参考サイト〉

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 袋井 出茶屋ノ図 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04348/

文化遺産オンライン 「東海道五拾三次之内 28 袋井《出茶屋ノ図》」(https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/197758

アダチ版画研究所「歌川広重「東海道五拾三次 袋井 出茶屋ノ図」」(https://store.adachi-hanga.com/products/uk_hiroshige040?srsltid=AfmBOop_bgkxUS4y_rf-wqrDmJK04j4D0VRgw2HrT8tfFppgkagg9pN-

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