12. 三嶋 朝霧(東海道五十三次:歌川広重)
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はかなく消え失せる霧
三島の宿は、伊豆の国府であり、古くから三島神社の門前町として栄え、下田街道との分岐点でもあった。本図は、前景に三島神社の前を馬と駕籠に揺られてゆく早立ちの旅人を描き、背後に霧に霞む鳥居や旅人の姿をシルエットで見せる。広重はこのシルエットによる描写を、京都四条派に学んだという。はかなく消え失せる霧。自然現象を巧みに利用した叙情的な画面構成である。中央の旅人達だけが色彩鮮やかで立体感を持ち、動作がよく表現されている。霧の中に消える巡礼の姿。前進する駕籠と馬上の旅人は眠そうである。夜はまだ完全には明けていないようだ。
〈参考サイト〉
知足美術館「三島 朝霧|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/11_mishima/)
文化遺産オンライン「東海道五拾三次之内 12 三島《朝霧》」(https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/227282)
神奈川県立歴史博物館「東海道五拾三次之内 三島 朝霧」(https://ch.kanagawa-museum.jp/dm/ukiyoe/esi/hirosige/d_hirosige03.html)