11. 箱根 湖水図(東海道五十三次:歌川広重)

東海道一番の難所箱根越え...「天下の険、千尋の谷」

現在の神奈川県足柄下郡箱根町。岩肌をあらわにした険しい山の間をぬって、狭い道を大名行列が行く。関所を無事通過し、「天下の険」を更に先へ進む箱根八里。山並の向こうにさらに富士山が見えている。左手には美しい芦ノ湖がある。山肌をモザイク状の色面で構成し、一層険しさを強調している。急な勾配をもって芦ノ湖へ反り出す。遠景には真っ白に雪化粧した富士が美しく浮かび上がる。広重のこのあまりにも実景とかけ離れた描写は、江戸の庶民に驚きをもって受け入れられ、人気を博したことは想像に難くない。多彩な色と奇抜な形の組み合わせによって描かれた、広重の傑作中の傑作。

〈参考サイト〉

知足美術館「箱根 湖水図|東海道五十三次」(https://chisoku.jp/tokaido/10_hakone/

文化遺産オンライン「東海道五拾三次之内 11 箱根《湖水図》」(https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/199241

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 箱根 湖水図 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04331/

arrow_upward