3. 川崎 六郷渡舟(東海道五十三次:歌川広重)

江戸から離れる哀愁が漂う

東海道五十三次の最初の大きな川が、この図に描かれた六郷川(現在の多摩川)。対岸に見えるのが川崎宿。玉川は多摩川や六郷川とも呼ばれていた。もともとは大きな橋が架けられていたが、たびたびの洪水で流されたため、この図のように舟で渡河するようになり、「六郷渡し」と呼ばれた。画面奥の西日で真っ赤に染まった空と雪化粧した富士の姿のコントラストが美しい。また、棹をふんばる船頭が「動」を表わし、絵を引き立てている。対岸で裸の男が舟の方を見ている表情など、個々の人物描写が面白い。この版図にも保永堂の単独出版の異版があり、人物の描写が少し変化している。

〈参考サイト〉

文化遺産オンライン「東海道五拾三次之内 3 川崎《六郷渡舟》」(https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/241873

知足美術館「川崎 六郷渡舟」(https://chisoku.jp/tokaido/02_kawasaki/

東京富士美術館「東海道五拾三次之内 川崎 六郷渡舟 | 歌川広重 | 収蔵品詳細」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/04323/

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