島野浩二

【テーマ設定】

インタビュー計画概要:

1980年代半ばからマンガ出版の最前線に立ち、『クレヨンしんちゃん』などの世界的ヒット作の誕生やライツビジネスの立ち上げに携わってきた島野氏への対話を通じ、大手出版社とは一線を画す双葉社の独自のジャンル開拓史、国内外における知的財産保護の実務、そしてデジタル・WEB時代におけるマンガビジネスの変遷と未来像を明らかにする

大テーマ:反骨の開拓史からグローバルライツ、そしてデジタル・エージェントビジネスへの変遷

中テーマと主な焦点:

1.『Weekly漫画アクション』における独自ジャンルの開拓と作家育成

大手3社(小学館・集英社・講談社)に対抗する双葉社独自の社風と、ヤング誌への転換期における作家開拓・育成手法に焦点を当てる。相原コージ氏や岡崎京子氏らの起用、画期的な増刊誌の狙い、そして臼井儀人氏の持ち込みから『クレヨンしんちゃん』誕生に至るプロセスと当時の編集者の役割を明らかにする

2.『クレヨンしんちゃん』がもたらしたライツビジネスの立ち上げと日中知的財産権紛争の舞台裏

作品の大ヒットに伴う社内「版権(ライツ)部門」立ち上げの経緯と、マンガが巨大キャラクターIPへと変貌を遂げた産業構造の変化に焦点を当てる。また、中国で8年間に及び展開された「クレヨンしんちゃん(蠟筆小新)事件」の国際裁判実務と教訓、さらに原作者逝去後も作品をグローバルIPとして維持・成長させ続ける現代のライツ戦略を深掘りする

3.デジタル出版への対応と「DEF STUDIOS」における新たなマンガビジネスの模索

印刷雑誌の部数激減に伴うビジネスモデル転換期において、双葉社が取るWEB・アプリ戦略の全貌に焦点を当てる。他社巨大プラットフォーム(ピッコマ等)との差別化を検証するとともに、100%子会社「DEF STUDIOS」での取り組みを通じ、従来の作家・編集者による一体型システムを、世界配信を見据えたベンチャー型エージェントシステムへいかに進化させるか、その未来像を模索する

期待される成果:

本インタビューを通じ、戦後マンガの多角的な発展を支えてきた「マンガ編集者」という黒子の役割やノウハウを歴史的・客観的な記録として残す一助とする。また、日中間の商標権・著作権紛争の生々しい実務対応を紐解くことで、今後の日本のコンテンツホルダーが取るべき国際的な知的財産保護や水際対策への具体的な示唆を得る。さらに、印刷雑誌の衰退という構造的課題に対し、自社WEBアプリの運用やエージェント型ビジネスへの変革が、デジタル過渡期における持続可能な新しいマンガビジネスの突破口になり得るかを提示する

【参考文献】

竹内オサム・西原麻里編(2016)『マンガ文化 55のキーワード』(世界文化シリーズ・別巻),ミネルヴァ書房.

中野晴行(2019)「マンガ雑誌の黄金時代――1985~95年の編集部を語る 第9回 双葉社「漫画アクション」元編集長、現双葉社取締役編集局長・島野浩二 前編」『メディア芸術カレントコンテンツ』, https://mediag.bunka.go.jp/article/article-16155/.

中野晴行(2019)「マンガ雑誌の黄金時代――1985~95年の編集部を語る 第10回 双葉社「漫画アクション」元編集長、現双葉社取締役編集局長・島野浩二 後編」『メディア芸術カレントコンテンツ』, https://mediag.bunka.go.jp/article/article-16162/.

李林渓(2024)「キャラクターの著作権保護をめぐる考察―日中のキャラクターグッズの現状比較を通して―」『法学ジャーナル』第百五号, pp.55-94.

『日経流通新聞』1986年2月3日, 23面「マガジン――週刊がまた増えた進む青年の漫画熱(新市場・消費者)」.

『日経流通新聞』1992年3月5日, 5面「フランス人気漫画のライセンス事業展開」.

『日本経済新聞』朝刊, 1993年1月16日, 24面「関西勢の活躍目立つ漫画界」.

『日経産業新聞』1994年3月24日, 6面「「しんちゃん」人気に乗る」.

『日本経済新聞』朝刊, 1995年6月10日, 34面「いでよ, 時代の子 新鮮/20代漫画家たち」.

『日本経済新聞』夕刊, 1998年3月31日, 7面「まんがWORLD(知)」.

『日本経済新聞』朝刊, 2003年7月22日, 1面「アジアで捗びるJ感覚 日本企業, 新収益源に」.

『日経流通新聞』2003年8月12日, 12面「漫画アクション休刊 路線変更あだに」.

『日経産業新聞』2003年11月21日, 1面「中国で勝つ ブランド展開攻守一体」.

『日本経済新聞』朝刊, 2007年3月3日, 40面「止まらぬ雑誌離れ――読者層絞り巻き返し, 女性向け小説, 携帯世代に的」.

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