鈴木晴彦

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【テーマ設定】

インタビュー計画概要:

『週刊少年ジャンプ』の最盛期に現場編集者として在籍し、その後、青年誌・少女誌の編集長や関連会社の経営者を歴任した鈴木晴彦氏の視点を通じ、ジャンプ独自の編集システムや組織内の人間関係、産業としてのマンガ編集の変遷を多角的に解明することを目的とする

大テーマ:マンガ編集に関する多様な視点を背景とした、ジャンプ編集部の強さを支えた構造

中テーマと主な焦点:

1.ジャンプ独自の編集システムと競争原理

『週刊少年ジャンプ』の飛躍を支えた「マンガ家専属制度」や「アンケート至上主義」の実態と、それが編集者・作家に与えた影響はあったのか新人を育成し競争させるシステムの中で、編集者と作家が「運命共同体」としてどのように機能していたか。また、ファミコンブームの牽引や『北斗の拳』などのヒット作誕生背景と、当時のマーケティング施策について聞く。

2.編集部内の人間関係と力学(躍進の背景)

西村繁男編集長(硬派な世界観)と鳥嶋和彦氏(ラブコメやゲームの導入)といった異なる方針を持つ編集者間の対立構造や競争が、いかにして雑誌の多様性とヒットを生み出したか。また、編集部内の「敵対関係」や「男くさい雰囲気」が、組織としてのエネルギーにどう変換されていたかについても伺う。

3.ジャンル横断的な編集論(少女・青年誌との比較)

『マーガレット』『りぼん』『スーパージャンプ』での編集長経験を踏まえ、少年誌(ジャンプ)と少女誌・青年誌における編集方針、作家との距離感、ビジネス戦略の違いを明確にする。また、読者層の違いによるメディアミックス(アニメ化、ドラマ化)へのアプローチの差異についても伺う。

4.編集者の職能変化と産業史的視点

現場編集者から経営者(集英社クリエイティブ)へのキャリアを通じて見る、出版ビジネスの変化(金銭周り、折衝、子会社での出版戦略など)

期待される成果:

システム(制度)だけでなく、編集者間の競争や人間関係(対立の力学)を含めた「生きた組織」としてのジャンプの強さの源泉を言語化できる。また、少年・青年・少女マンガのすべての現場を知る人物の証言により、各ジャンルにおける編集技術やビジネスモデルの相違点が体系化される。さらに、編集という仕事が、単なる作品作りにとどまらず、メディアミックスや権利ビジネス、経営戦略へといかに拡大していったか、その産業史的な位置づけを記録できる

【参考文献】
コミックナタリー編集部. 「『あの頃のジャンプ編集者は最強だった』レジェンドたちが当時を振り返る」. 2019年7月9日. https://natalie.mu/comic/news/338974.

ニコル・クーリッジ・ルマニエール、松葉涼子編. 『マンガ!大英博物館マンガ展図録』. 三省堂, 2020.

まんが王国・土佐. 「株式会社集英社 常務取締役 鈴木晴彦さんインタビュー」. 2017年12月25日. https://mangaoukoku-tosa.jp/old/articles/page8719.html?ID=1767.

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