すがやみつる

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【テーマ設定】

インタビュー計画概要:マンガ産業変革期の証言ーすがやみつるの作家性と時代性

大テーマ:

1970年代から80年代にかけて、日本のマンガ産業はアシスタント中心の制作体制から、編集プロダクションの登場や雑誌の専門分化など大きな構造変化を経験した。本インタビューでは、漫画家・すがやみつる氏の証言を軸にこの変革期を読み解く。『コロコロコミック』での活躍や、当時勃興したコンピューター分野をマンガで描いた活動などを通じ、産業構造の変化が作家のキャリアに与えた影響を明らかにする。

中テーマと主な焦点:

1.制作現場の変容と新たなシステムの登場

 70年代に登場した「編集プロダクション」はなぜ必要とされたのか。また、アシスタントやプロダクションでの経験が、作家活動に与えた影響を分析する。石ノ森章太郎氏に師事し、原作作品をマンガ化する「コミカライズ」が、当時の産業で果たした役割にも焦点を当てる。

2.『月刊コロコロコミック』の革命とヒット作の誕生

小学館の学年誌から『コロコロコミック』へと至る歴史的背景と、同誌の編集方針を解明する。『ゲームセンターあらし』が、いかにして雑誌を代表するアクション表現の原点となったのかを探る。

3.マンガとテクノロジーの融合

『こんにちはマイコン』に代表される、マンガを専門分野への入門書とする「入門マンガ」の草創期について分析する。国産パーソナルコンピュータ(PC-6001等)の黎明期に、マンガというメディアが果たした役割と、そのパイオニアとしての活動実態に迫る。

【期待される成果】

すがやみつる氏の証言から、アシスタント制度が主流だった時代から編集プロダクションやコミカライズが分業化されていく70-80年代のマンガ産業の構造変化を、現場の視点から具体的に解き明かす。さらに、『コロコロコミック』の成功要因や、マンガとホビー・テクノロジーを融合させたメディアミックスの先駆け的活動の実態を記録し、日本マンガ史・メディア史における同氏のキャリアを重要なケーススタディとして位置づけることを目指す。

【参考文献】

すがやみつる. 「ゲームの創作(クリエイション)における物語(ナラティヴ)の生成――ゲームとマンガの比較文化論」. 『京都精華大学紀要』, 2007.

すがやみつる. 「テレビゲームの過去・現在・未来――その進化とユーザーの変容」. 『京都精華大学人文学部紀要』, 2008.

すがやみつる. 「日本における«コミックス»の概念の成立と展開――«漫画»との異同を中心に」. 『京都精華大学紀要』, 2009.

前川修, 奥村弘 編. 『マンガ/漫画/MANGA : 人文学の視点から』. 兵庫: 神戸大学出版会, 2020.

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