A3-0 賭ける遊戯

大人の悪い遊びといって、皆さんは何が思い浮かぶでしょうか。おそらく多くの人々は、パチンコや競馬、賭け麻雀といった博打に、背徳的なものを感じる筈です。「賭ける遊戯」のコーナーでは、江戸時代を中心に、民衆が熱狂した遊びが金銭に結びついていった例を、作品を通して紹介していきたいと思います。もちろん賭博というものは、江戸時代以前の古くから行われていたものではあります。しかしながら、戦国も終わり、長い太平の世を迎え、庶民文化の華開いた江戸においては、いっそう人々が娯楽に情熱を注ぎこんだに違いありません。物語においても、賭博で身持ちを崩した庶民というのは教訓を含んだ主題になるものです。まず、今回選んだ作品を、かるた賭博、双六、闘鶏、宝くじの源流の、四つの分野に分けて「賭ける遊戯」の実態を探っていきたいと思います。これらの娯楽は、江戸幕府によって公認されるものもあれば、厳しく禁令を敷かれるものもありましたが、庶民から賭け事に熱中する気持ちが失われることはありませんでした。以上の展示から、当時の彼らの熱意が少しでも伝わることがあれば幸いです。

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