H.『信有奇怪会』見越入道とろくろ首の再会シーン

見越入道とろくろ首の再会シーン
書名:『信有奇怪会』
作者:十返舎一九
書型:黄表紙2巻1冊
出版: 寛政8年 (1796)
所蔵:国立国会図書館(NDL-2534051)

[翻刻]
見越入道は金平が方へ入り込み、様子を伺いけるに、ろくろ首は庭の立木、おのれが首にてぐる〱巻にされて、くゝりつけられいけるゆへ、入道、密かに会いて、互いに恋しゆかしの物語、今宵人の寝静まりたる頃、密かに連れ、立ち退かんと約束する。

見越入道「ヤレ〱懐かしかつた。これから連れだつて、道行と出かけよふ」
ろくろ首「わつちが首を『名代〱飴は太白入り、香ばしくて歯につかず』などとしやれながら、うそ汚い唾をつけて引きのばし、すぐに体をぐる〱巻き、これが本の首かせといふものでござんすわいのふ」

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