E1a 対峙のドラマ.

作品名:「武蔵坊弁慶 河原崎三升」「富樫介 市川左団次」「源義経 岩井半四郎」
上演:明治5年(1872)2月 東京・守田 「勧進帳」
絵師:豊原国周
判型:大判錦絵 3枚続
所蔵:立命館ARC(arc0357~0359).

こちらの作品は同じく国周によって描かれた三枚続きの役者絵であるが、より人物が多く、四天王の片岡、伊勢も描かれている。弁慶は読み上げる前の見得である富樫から巻物を隠して上手を見て束に立つかたちをとる。この場面は富樫の方も足を開き巻物をのぞき込むという見得があるのだが、この作品の富樫は座っているようである。ここで人物の大小関係を考えてみると、立っている弁慶よりも座っている富樫のほうが体が大きく描かれ、目線もやや上から見下ろすようであるという構造が見えてくる。座っている人物の方が大きく見せられるというのは浮世絵という媒体ならではの表現であり、より富樫の存在感が感じられ、弁慶を威圧するような絵となっている。(住)

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