①研究分野
本研究テーマは,デジタル図書館・アーカイブ・ミュージアムにおける情報アクセス技術に関わる研究であり,研究分野としては,情報学における情報図書館学・人文社会情報学・メディア情報学・データベース・情報検索に主に関わる研究である.
②研究内容
現在,インターネット上には多数のデジタル図書館・アーカイブ・ミュージアム(MLA: Museums, Libraries, Archives)が存在しサービスを提供しているが,それぞれが独自のインタフェースやメタデータスキーマを持つため,相互利用は困難なのが現状である.また,同じ博物館内であっても,対象となる資料の形態によって,必要となるインターフェースが様々となる可能性がある.
本研究テーマでは,これまで注目されているインターネット上に分散して多数存在するデジタル図書館・アーカイブ・ミュージアムだけでなく,形態の違う芸術文化資料を相互に参照できる検索システム,より分かりやすいシステムの構築を目的として,これらの共有化に関する研究を行う.複数サイト・データベースに対する横断検索の実現のために,メタデータのハーベスティング(収集)および独自メタデータ項目の共通メタデータへの自動マッピングを行う.
さらに,本研究のオリジナルな視点として,個人の興味や研究領域に応じて複数サイトの検索結果を統合しランキングすることにより,より高度な横断検索の実現を目指す.また,本研究プロジェクトで対象とする絵画データを対象とした横断検索の手法として,前述のメタデータによる横断検索を実現するだけではなく,複数サイトの横断検索結果を画像特徴を利用してランキングする手法を開発する.具体的には,全体の色彩的な特徴ではなく,画像中に描かれたオブジェクトの認識に基づくインデキシングを行い,ユーザの多様な意図に即した検索を可能にさせる手法の開発を行う.
③期待される成果又はその公表計画
本研究の実現により,従来は個々に利用するしかなかったデジタル図書館・アーカイブ・ミュージアムの相互利用が実現し,それぞれのサイトの利用の促進に貢献するとともに,複数サイト・データベースを横断検索することにより,利用者が予期しなかった新たな知識の発見などが期待できる.また,言語に依存しない共通メタデータにマッピングすることにより,現在日本語のインタフェースしか持っていないデジタル図書館・アーカイブ・ミュージアムのコンテンツの海外からの利用を促進するという効果も期待できる.なお,本研究の成果は,本研究プロジェクトで新たに構築するデジタル図書館・アーカイブ・ミュージアムの横断検索システムとしてインターネット上で一般に公開する.