研究の目的

 人文系研究資源の蓄積や共有化は、その分野を担当する公的組織での重要な課題であり、さまざまな努力がなされている。ところが芸術文化分野でのデジタル化には、高度なアーカイブ技術が必要とされる場合もあり、あまり進展がない。とくに文系理系の研究者が常に共同体制で行われないと実現しない1次資料の効率的な資源共有化については、現段階で実現している組織は見当らない。しかし、芸術文化分野での研究資源の共有は、難しいだけに逆に研究を飛躍的に進化させる可能性を持っている。
 アート・リサーチセンターでは、文理融合型研究所としてデジタルアーカイブ手法や公開研究を行ってきており、そのノウハウが蓄積されている。今回、芸術文化系研究者自らが現地調査を進めるながら資料のデジタル化を効率よく行ない、デジタル資源化し蓄積していく新たな手法によるプロジェクトを立ち上げる目的は、この最難関分野でのデジタル資源共有化にある。特殊な対象に対しても標準化が可能な技術開発を並行しつつ日常の研究活動の中で、資源蓄積がされ、しかも様々な形態の資料を横断検索する実践研究を行う。