No.67 [三代目中村歌右衛門死絵]

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歌川貞芳 画
中判錦絵3枚続、天保9(1838)年以降
アート・リサーチセンター蔵: arcUP4231・4232・4233

  三代目中村歌右衛門が亡くなった天保9年(1838)に、上方で出版された死絵。死絵とは歌舞伎役者が死亡した際に刊行された浮世絵で、追善の意味だけでなく、情報伝達の役割も兼ねていた。浅黄色(薄い青色)の着物を着た役者の姿に加え、没した日時、戒名や墓所などの情報が記されている事が多い。三代目歌右衛門は文化文政期(1804~1830)を代表する役者。上方を中心として活躍していたが、生涯に三度江戸へ下り、江戸の地でも人気を博した。展示品は亡くなったばかりの歌右衛門を、天保8年(1837)没の二代目嵐璃寛と四代目嵐三五郎、天保6年(1835)没の四代目(画中では二代目)中村松江が極楽に迎え入れている図。
 亡くなって間もない歌右衛門は無地の着物に数珠を持つ姿で描かれているが、その他の役者の着物には睡蓮や唐草、宝尽し模様や家紋に因んだ模様が施されている。本図は銀を使用した豪華な摺りであり、当時の歌右衛門人気を忍ばせる。

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