No.66 歌舞妓十八番勧進帳 八代目市川団十郎御名残

無款
35.2×42.5、嘉永7(1854)年以降
アート・リサーチセンター蔵: arcSPC2-0014
 

  歌舞伎十八番「勧進帳」に仮託した、八代目市川団十郎の追善摺物。八代目は、「歌舞伎十八番」を制定した七代目団十郎の長男で、美男子であったことから幕末の江戸で絶大な人気を誇った。しかし人気絶頂の最中、嘉永7年(1854)に大坂で自殺してしまう。人気役者の突然の死は当時の人々にとって大きな衝撃であり、その死を扱った浮世絵、追善本、追善摺物などの出版物が多数出版された。展示品では、極楽東門にさしかかった八代目を描く。親に先立つ不孝から、市川団十郎としてではなく山伏姿で極楽東門を通ろうとするものの通過が許可されない。そこで、勧進帳を読み上げる気持ちで白骨<はっこつ>の御文章<ごぶんしょう>読み上げる旨が口上に記されている。画面左下には、七代目団十郎とその愛妾お為が、市川家再建にかこつけて冥加銭<みょうがせん>を集める姿も描かれている。

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