No.64 尾上多見蔵当狂言

和田正兵衛筆、含粋亭芳豊画
36.5×49.5、安政3(1856)年
アート・リサーチセンター蔵: arcSPC2-0003

  上方を中心に活躍し、三都随一と称された二代目尾上多見蔵の当たり役を、江戸の顔見世番付の体裁で総覧した見立番付。上段には役名を、下段にはそれらに扮した多見蔵を描いている。本来の顔見世番付では画面上部中央に劇場の櫓紋が配されているが、本図では櫓紋の代わりに多見蔵の紋である梅鶴紋が用いられている。多見蔵といえば、早替りや展示品中央に大きく描かれる石川五右衛門のようなケレン味あふれる役柄を想起しがちであるが、立役・敵役・娘役などの幅広い役柄をこなし、地芸に留まらず所作事をも得意とした多見蔵の多彩な技量を再認識させる好資料である。

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