No.61 [俳優いろはかるた]

明治43(1910)年頃
アート・リサーチセンター蔵: arcBK06-0002
 

  歌舞伎役者47人の顔写真を取り札にしたいろはかるた。箱の側面に施されているイ菱紋は、現代では中村鴈治郎家が使用しているが、役者の襲名時期や生没年などから明治43年(1910)頃に制作されたと考えられる。取り札には素顔の役者の写真が用いられており、近代の名優達の実像を知ることができる。読み札には役者の家紋がデザインされており、役者の芸に因んだ文章が書かれる。例えば、「ナ」の読み札は二代目市川右団次の札で、松皮菱<まつかわびし>に桐紋に「なくも笑ふもそりや右団次とすきもきらひの早かはり」とある。ケレン味あふれた芸が特徴であった二代目右団次の芸を当て込んだ読み札となっており、遊び道具の中にも役者の評判をうかがうことができる。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: No.61 [俳優いろはかるた]

このブログ記事に対するトラックバックURL: https://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/mt_gcoe/mt-tb.cgi/3686

コメントする