
- 愛染明王像 あいぜんみょうおうぞう
- 一幅、鎌倉時代
- 愛染明王は愛染王・染愛王ともよばれるが、愛染とは梵語名「ラーガ」を漢訳したものである。赤い円相を光背にして蓮華座に座す愛染明王は、獅子冠を頭上に戴き、一面三目の忿怒相である。愛染明王は和合や親睦などを祈る敬愛法の修法本尊として用いられるが、その修法は秘法である。日本における愛染明王に対する信仰は9世紀に発生し、院政期になって隆盛したといわれるが、その主な支持者は上級貴族たちであった。本像の伝来は不明で、制作時期は鎌倉時代後期以降のものであろう。