玉蔓
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たまかずら
画題
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解説
画題辞典
一。源氏物語の一巻なり、夕顔の娘るり君というあり、年四歳にして母に後れ、乳母につれられて筑紫に下りしも乳母の夫の小貳というもの死せしかば、再び廿三歳にてめのとと二人して舟にて京に戻られしも寄る辺なく、先づ初瀬に参りて仏を祈る、その折夕顔のかつて召遣はれし右近というが参れるに会ひ、それより源氏がかたへ迎ひ取られて紫の上にあつけ置かる、紫の上いかなる筋にか養ひ給ふを疑ひて詠まれ玉ふ和歌一首「恋わたる身それなれども玉かつら いかなる筋をたづね来つらん」、さればこの君をたまかつらという、またなでしこの君ともいうとぞ、
之を画きしもの、源氏物語絵の外に土佐光成の筆筑紫より舟中の図近衛公爵旧蔵にあり。二。謡曲にして源氏物の一なり、源氏物語の玉蔓巻より採れるものなり、旅僧大和初瀬寺に詣でんと志し、初瀬川に到りけるに、玉かづらの霊一婦人となりてあらはれその昔初瀬に詣でし折り日頃より玉かづらを尋ねつゝありしという源氏の君の女房の右近に出会ひ、源氏に召し養はるゝに至れる生前を物語り、僧の回向によりて、本体を現にし成仏することを記せり、処は大和初瀬、季は九月なり。
(『画題辞典』斎藤隆三)