水車
すいしゃ
画題
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解説
東洋画題綜覧
河水を汲みあげて田に引く必要から起つたもので、更に流水を利用し之を回転せしめ機を添へて米など搗かす、これを舂車、機碓、水碓、水舂などゝ云ふ、処によつては船にこれを仕掛けて穀類を搗くに用ふる、現代では水力電気のタービンを指しての名称となつてゐるが美術上に開係のあるものは前記の方である、水車の日本に於ける起原に就いては、『日本後紀』に
天長六年、詔曰、伝聞唐国之風、堰渠不便之処、多搆水車、以手転以足踏、服手廻等各々随便宜、此間之民、素無此備、動苦焦損宜下仰民間作件器以為農業之資、大納言良峰安也奉勅、教諸国民作水車。
とある、又、水車の中で有名なのは淀の水車である、これは淀君豪奢のあとを偲ばせるもので淀川(淀河)の水を此の水車に依つて淀城の中へ汲み込んだのであるといふ。
淀川の水車、山州淀の外、北の方大川の中に水車二つあり、その車、大さ差しわたしハ間あり、廻り二十四間なるべし、釣瓶一つに水一斗六升入るよし、川水を城の方へ汲み入るゝ為めなり、二つとも泉水のやうにて城用の益にもあらず、年々修補の費若干なりといへども、聞えたる名物なれば、このまゝに架け置けると。 (太田南畝―半日閑話)
水車はかく、形も面白いので絵にもよく画かれてゐる。
長谷川宗也筆 『橋柳水車屏風』 市田弥三郎氏蔵
伝狩野山楽筆 『千鳥水車』 飯田新七氏蔵
川合玉堂筆 『行春』 第十回文展出品
同 『彩雨』 紀元二千六百年奉祝展
宇田荻邨筆 『淀の水車』 第七回帝展出品
富田渓仙筆 『同』 米国トレド美術展出品
野村文挙筆 『水車』 第二回文展出品
西山翠嶂筆 『青田』 第六回文展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)