許由巣父
きょゆうそうふ
画題
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解説
(分類:中国)
画題辞典
許由巣父共に支那古代の隠士にして、清節を以て知られたるものなり。許由は箕山の隠士なり、尭曽つて許由の賢を聞き、之に天下を譲らんとす、許由之を肯んぜず、斯くの如き事を聴く我が耳汚れたりと、頴川の河水を以て其の耳を洗えリという。時に巣父之を耳にし、許由が汚れたる耳を洗える頴川の水は更に穢れたりとて之を渡ることを肯んぜざりしという。古来相並んで好画題として画かる。古来知られたるものに左の如きものあり。
狩野元信筆双幅(京都妙顕寺所蔵)、狩野永徳筆双幅(秋元子爵旧蔵)、狩野山樂筆双幅(福岡子爵所蔵)、酔墨斎筆双幅(同)
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
許由、巣父共に支那上古尭代の隠士であつた、許由は箕山にあり、巣父は好んで樹上に居を営む、尭、許由の賢を聞き、これに天下を譲らうとしたが、許由これを肯かず、却つて我耳穢れたと穎川で洗ひ、これを巣父が聞き、穎川の水はなほ汚れたと、これを渡らなかつたといふ故事、老荘の虚無思想を象徴したものであらう、出所は
巣父者、尭時隠人也、山居不営世利、年老以樹為巣而寝其上、故時人号曰巣父、尭之譲許由也、由以告巣父、巣父曰、汝不隠汝形、蔵汝光、若非吾友也、撃其膺而下之、由悵然不自得、乃過清冷之水、洗其耳拭其目、日向聞貪言、負吾之友矣、遂去、終身不相見。 (漢魏叢書高士伝)
で、なほ次の文もある。
王維云、古之高者曰、許由挂瓢、巣父洗耳耳非駐声之地、声非染耳之跡、悪外者垢内病物者自戕、此尚不能至于曠士豈入道之門也。 (千百年眼)
此の故事を画いたものに左の作がある。
王諤筆 紀州徳川家旧蔵
狩野元信筆 京都妙顕寺蔵
狩野永徳筆 秋元子爵家旧蔵
久隅守景筆 波多野古渓氏旧蔵
芳中筆 (蝦蟇鉄拐屏風) 溝口禎次郎氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)