罌粟
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けし
画題
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解説
東洋画題綜覧
罌粟はけし科に属する二年生の草木で旧世界の原産であるといふ、俗に『芥子』の文字が用ひられ、漢名には象穀、米嚢花、御米、米穀花などの数種がある、その一種『ひなげし』には有名な虞美人の伝説が伴つてゐるので、虞美人草の雅名がある。―その項参照―罌粟はその丈け往々四五尺を超えるものがあり、葉は大きく鋸歯細かく葉柄がなく下は膜になつて茎を包んでゐる、茎も葉も著しく白味がかつてゐるのが特長であり、花は原種は純白四弁、萼もあるが早く落ちてしまうので気のつかぬ人が多い。種々の園芸的変種があり、色彩も亦多趣多様で、赤、白、紫、覆輪、絞、底紅、紫白いろいろある、白花のものは古来薬用に供せられてゐる、亦、花弁が落ちて子房が蕊をつけたまゝ成長するが、やがて熟すると菊座のやうになる、これを俗に『芥子坊主』と呼んでゐる、蕾の時には下を向つてゐるが開花する間際になると上に向く、これも此の花の特長である、
絵画に現はれたもの極めて多い、主な近作を挙げて置く。
土田麦僊筆 国画創作協会出品
小林古径筆 第八回院展出品
前田青邨筆 第十七回院展出品
金島桂華筆 第六回帝展出品
徳岡神泉筆 同
長山はく筆 同
吉田登穀筆 第十回帝展出品
尚紀元二千六百年奉祝展には浜田観、山口玲熙、富田秋邦の作があつた。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)