春日
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かすが
画題
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解説
東洋画題綜覧
大和国添上郡にある、今の奈良市、春日山はその東に峙ち、北に若草山、南に高円山があり、春日山の西に聳ゆるを三笠山とし、山腹に春日神社がある、官幣大社で健御賀豆智命、伊波比主命、天之子八根命、比売神を祀る、称徳天皇の神護景雲二年の創建、常陸の鹿島より来るといふ、藤原氏の氏神で興福寺の鎮守であつた、境内に神鹿群り山中には藤多く八重藤はその名昔から聞えてゐる。
春日なる三笠の山に月の船出づ遊士の飲む坏にかげに見えつゝ (万葉集)
春日野の藤は散りにき何をかも御狩の人の折りてかざゝむ (同)
春日明神は藤原式の優美な建築であり、古来由緒深き神社であるから、画かるゝ処少からず、これが縁起を画いたものには、御物高階隆兼筆『春日権現験記』二十巻あり、又、山城高山寺には国宝伝宅磨勝賀筆『春日明神』があり、近く富田渓仙にその作が多い。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)