天狗草紙絵巻

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てんぐそうしえまき


画題

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解説

東洋画題綜覧

世に天狗草紙絵巻と称するものに二種類ある、一は、天狗草紙一名『是害坊絵詞』といひ、もと神戸川崎男爵家の所蔵であつたが、今は住友家にある、震旦国の天狗是害坊が日本の小国たるを侮つて宗論を試みやうと日本に渡つて来たが我が慈恵大師の法力に敗れて本国に帰らうとしたが、老病のため帰ることが出来ず、日本の天狗どもから介抱されて有馬の温泉に浴し、『老の波にもろこし船のきよせつゝあきつ島にてうめきをぞ見る』と一首詠じて帰国するといふ筋で画は土佐永春、詞は二条為重といふ。

一は普通の天狗草紙で、これは興福寺、東大寺、延暦寺、園城寺、東寺、醍醐寺、高野山の七箇寺の僧徒の驕慢ぶりを天狗に喩へて諷刺したもので、いま醍醐寺と高野山は帝室博物館に、興福寺は根津家、園城寺が前田家と久松家各一巻、外二巻都合七巻が知られてゐる、その詞書の一節に曰く

魔界の果報は、憍慢をもて正因とし謡曲もて助業とす、慢に七種あり、いはゆる卑慢、慢、過慢、慢過慢、我慢、邪慢、増上慢是なり、これによりて日本国の天狗おほしといへども、七類をいでず、これ即ち興福、東大、延暦、園城、東山、山臥遁世の僧徒なり、これみな我執に任じ、憍慢をいだき、名聞をさきとし、利害を事とす。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)