卒都婆小町

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そとばこまち


能狂言


画題

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解説

画題辞典

艶美無双と称へられたる小野小町の、年老いて零落し、蝉妍たる古の姿見るべきやうもなく、杖にすがりて歩みくたびれ、卒都婆の朽木に腰打ちかけたるをいう。盛者必衰の理を人によりて示したるものにして、謡曲にては此間に高野よりせる旅僧との問答あり、少将の霊につかれて物狂はしくなり、終に仏果を得るを以て終りとせり、古来画題とせられし所のものなり、

前日本美術院の展覧会に松本楓湖画く所あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

謡曲の名、玉造壮衰書によつて、小町老いて零落し卒都婆に腰をかけて憩うてゐると僧が現はれて問答となり、少将の霊につかれて物狂ひとなる筋、一齣を引く

あまりに苦しう候ほどに、これなる朽木に腰を懸けて休まばやと思ひ候ふ、「のうはや日の暮れて候ふ、や、これなる乞食の腰かけたるは、正しく卒都婆にて候ふ教化してのけうずるにて候ふ、いかにこれなる乞丐人、お事の腰かけたるは、かたじけなくも仏体色性の卒都婆にては無きか、そこ立ちのきて余の所に休み候へ「仏体色性のかたじけなきとは宣へども、是ほどに文字も見えず、刻める像もなし、たゞ朽木として見えたれ、「たとひ深山の朽木なりとも花咲きし木はかくれもなし、いはんや仏体に刻める木、などかしるしのなかるべき、「我も賎しき埋木なれども心の花のまだ有れば、手向になどかならざらん。

小野小町を画いた作は古来極めて多いが、左に主な作を挙げる

信実筆        三十六歌仙切       佐竹侯爵家旧蔵

岩佐又兵衛筆                  山本達雄氏蔵

尾形光琳筆      『草紙洗小町』      谷森真男氏旧蔵

上村松園筆      『草紙洗小町』      第一回新文展出品

松本楓湖筆      『卒都婆小町』      新日本美術院出品

寺崎広業筆      『卒都婆小町』      西沢笛畝氏旧蔵

湖竜斎筆       『風流七小町雨乞』    三原繁吉氏蔵

高嵩谷筆       『雨乞小町』       有賀長文氏旧蔵

細田栄之筆      『雨乞小町』       所蔵者不明

歌川豊国筆      『あふむ小町』      玩古洞氏蔵

久保田米僊筆                  岡崎正也氏蔵

菊池契月筆      『花野』(卒都婆小町)  第十回文展出品

狩野探幽筆遠州賛                青山子爵家蔵

喜多川歌麿筆     『風流七小町』      築比治仲助氏蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)