住吉詣
すみよしもうで
画題
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解説
画題辞典
謡曲にして源氏物の一なり、源氏物語澪標巻に、源氏宿願ありて摂津住吉神社に参詣せしに、図らずも明石の上も亦詣で来てふと出会ひしも、唯消息のみとり交はせしのみにて相別れける記事を其儘採れるものなり、唯これは盃などとり交はして別れしさまに記せり、処は摂津住吉、季は八月なり。明石の上とは明石入道の女にして、源氏明石に流浪の節寵せられ姫君一所設け、後都に召されたるなり、
俵屋宗逹画く所(徳川伯爵家蔵)あり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
能の曲名、源氏物の一つで源氏物語澪標の巻より取る、配所より帰つた光源氏が御礼の為めに住吉神社に詣でると、明石の上も船路を参詣に来たが、源氏の一行の行列の美々しいのを見て避け、難波の入江に帰る、源氏もここに帰つて酒宴となり、明石は舞ひ、やがて別れて行く。シテ明石上、ツレ侍女、同男、同源氏君、同惟光、子方随身、ワキ住吉神主、作者は未詳、一節を引く。
「松原の深緑なる木陰より、花紅葉を散らせる如くなる、色の衣々かず/゙\に、ののしり詣づる人影は、いかなる人にて有るやらん「是は都に光る君、過ぎにし須磨の御願はたしに詣で給ふといざ知らぬ、人もありける不思議さよ、あらはづかしや光る君と、聞くより胸うちさわぎつゝ、いとゞ心も上の空の、「月日こそあれ今日此頃、詣で来んとは、「白露の「玉だすき、かけも離れぬ宿世とは、思ひながらも中々に、此有様をよその見る目も恥づかしや、さりとては浦波の帰らば中空に、ならんもうしやよしさらば、難波の方に舟とめて、祓へたゞ白波の、入江に舟をさし寄する。
これを描いたものに近く左の作がある。
松岡映丘筆 第六回文展出品
又徳川時代に於ける風俗画としての住吉詣を画いたものには尾竹国観作(第十一回文展出品)がある。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)