今昔操年代記

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総合

いまむかしあやつりねんだいき。

享保十二(1727)年刊。

  • 浄瑠璃の歴史書。

本文

○近松門左衞門は作者の氏神なり、年来作り出だせる浄るり百余番、其内あたりあたらぬありといへども、素読するに何れかあしきはなし、今作者と云はるる人々、みな近松のいきかたを手本とし書きつゝる

筑後掾のいせい、夜まし日増の繁栄、芸者のほまれ四方にかゝやくといへども、ほっこりとした蔵入なく、三十の十八にてあはぬそろばん、胸算用あふてあはぬは世間なみ、次のかはりの談合、一ツ盃庄兵のばゝさまさしあひ、さしみは鯉にこせう、あたり浄るり何かするめといふ所へ、やれ曾根崎の天神で、見事な心中、有馬薬師、薬がまはつた、是を一段浄るりにあしらへ、そねさき心中と外題を出しければ、町中よろこび、入ほどにけるほどに、木戸も芝居もゑいとう/\こしらへに物は入らず、世話事のはしめといひ、浄るりはおもしろし、少しの間に余程のかねを儲け、諸方のとゞけも笑ひ顔見てすましぬ。