鷽替
うそかえ
画題
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解説
東洋画題綜覧
東京の亀戸天満宮では正月二十四、五の両日筑前大宰府の天満宮では正月七日夜に鷽替の神事がある、当夜参詣の群衆木で作つた鷽の形を袖の中にかくして、遇ふ人々とこれを交換する、鷽は大抵木製であるが、中には黄金製のもの一箇あるといふ、亀戸の天満宮の鷽替は大宰府天満宮に倣つたもので、文政三年から始められたといふ、但し亀戸の神事は昼間に行はれる、当時谷文晁、亀田鵬斎、太田蜀山人等伴うて参詣した処、鷽は全部売切れとなつてゐたので、文晁は直ちに矢立の筆を取り出して鷽の形を画くと蜀山人が忽ちこれに賛をして『此の神のまことの道のあらはれて鷽は売切れ申候』というたので、後は之を上梓して鷽の売切れたあとは、此の狂歌の鷽を出すことゝしたといふ、その意味は鷽を嘘に通はせ、凶事を虚にして吉にかヘるといふことである。 (俳諧歳時記)
此の鷽の形が面白いので、絵にもよく描かれる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)