竜
りゅう
画題
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解説
東洋画題綜覧
竜は印度をはじめ支那欧洲諸国で古代棲息してゐたと信じられてゐる想像の動物で、その説話は東西民族共にあり、支那では古人は竜を畜つたといふ伝説があり、麟と鳳と亀を合せて四瑞とし、鱗虫の長とした、そして虯竜(鱗あるもの)応竜(翼あるもの)蛟竜(角あるもの)蛟竜(角なきもの)の別を立て、又、黄竜、赤竜、白竜、黒竜の名があり、春は天に登り、秋は川に入るといふ。支那に於ける特長は竜を天子に結びつける事である、竜徳は天子の徳、天子の顔を竜眼といふ如くである、周易では竜を乾の象とし天に結びつけ、古天子の衣裳は十二章であつたが周の時代に日月星は旗の章とし竜を天子の上衣の章とした、今日古生物学上化石として掘出さるゝ爬虫類に竜と呼ばるゝものがあるが、これが果して今日伝へらるゝ竜の原種かどうかは詳でない、なほ東洋画に現はるゝ竜の型にも数種あり、必らずしも一ではない。
竜の名画として伝へらるゝもの極めて多い。
牧谿筆 『竜虎観音』 京都大徳寺蔵
陳所翁筆 『竜』 徳川侯爵家蔵
同 『同』 酒井伯爵家蔵
雪舟筆 『同』 徳川伯爵家旧蔵
宅磨栄賀筆 『竜虎』 佐竹侯爵家蔵
狩野探幽筆 『竜十態』 伊達伯爵家蔵
円山応挙筆 『竜』六曲一双 京都観智院蔵
橋本雅邦筆 『竜虎』屏風 岩崎男爵家蔵
横山大観筆 『竜蛟躍四溟』 昭和十一年帝展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)