沼
ぬま
画題
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解説
東洋画題綜覧
湖の一種で、湖と異るところは、一般に湖と称せらるゝものより規模の小なること、水底に泥土多く、水底到る処に植物を生ずることなどを以て区別せらる、その成因に就いては純湖の老齢なるもの、即ち湖水の埋没によつて生じたもの、又、河水の一部が沼となつたものなどがある、沼として聞えたものでは、下総の印旛沼、手賀沼、陸奥の小川原沼、上野の尾瀬沼などがあり、歌には『こもり沼』『かくり沼』『岩せく沼』など見え、歌枕には浅沢沼、伊香保沼、安積沼など見えてゐる。
沼は水草に縁の深い処から、自然山水画としてよく描かれ、その水草の生育してゐる一部を花鳥画としても描いてゐる。作例二三を挙ぐ
小川芋銭筆 『沼池四題』 第九回院展出品
松尾晃華筆 『暮沼』 同
井之川知白筆 『沼畔小景』 同十五回出品
野沢蓼洲筆 『尾沼湖』 第九回帝展出品
不動立山筆 『曽根沼』 第十五回帝展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)