人魚
にんぎょ
画題
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解説
東洋画題綜覧
半身人体半身魚体の想像の動物であるが琉球辺に棲息する儒良から想像を加へたものではないかといはる、『山海経』に『竜侯之山、無草木、多金玉、決々之水出焉、而東流注于河、其中多人魚、其状如䱱魚四足、其音如嬰児』とある。
伊勢国別保といふ所へ、前刑部少輔忠盛朝臣下りたりけるに、浦人日ごとに網を引きけるに、或は大なる魚の、頭は人のやうにてありながら歯はこまかにて、魚にたかはず、口さし出でて猿に似たりけり、身はよのつねの魚にてありけるを、三喉ひきいだしたりけるを、二人してになひたりけるが、尾なほ土に多くひかれけり、人の近くよりければ、高くをめくこゑ人のごとし、又涙をながすも人にかはらず、驚きあざみて二喉をば忠盛朝臣の許へもて行き一喉をば浦人にかへしければ、浦人皆切り食ひてけり、されどもあへてことなし、その味殊によかりけるとぞ、人魚といふなるは、これていのものなるにや。 (古今著聞集二十)
人魚を画いた作
鏑木清方筆 『妖魚』 第二回帝展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)