奈与竹物語
なよたけものがたり
画題
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解説
東洋画題綜覧
古き物語の名、作者は不明であるが、岸本由豆流であらうといふ、梗概は、後嵯峨帝、或る年の春大井の山荘に御遊あり、其時拝観に参つた某の少将の北方と語らはせ給ふことを綴つたもので、物語の名は、此の女房が帝の御使をうけて『なよ竹の』と云ひすてゝ去る所があり、これは古歌の
たかしとてなににかはせむなよたけの一よ二よのあだのふしをば
といふ意に基いたものであると、少将もこれによつて中将に陞つたので、世の人鳴戸の中将と呼んだといふ。
此の物語を画いたものに『奈与竹物語絵巻』がある、住吉如慶の筆といふ、また光起の模したものがあると伝へられ、更にこれを模したものに宇喜多一蕙の作がある。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)