智月尼
ちげつに
画題
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解説
東洋画題綜覧
蕉門の女流俳人、近江国大津駅の長左衛門が妻で、俳人乙州の母妙齢の頃、さる所の奥に局となつて歌路と呼んだこともある、晩年剃髪して智月尼といふ、嘗て師、芭蕉に形見を乞ふ、芭蕉、六十に近い尼に形見を乞はるゝは心細いことと戯れながら物書いて与へたが、其年芭蕉は世を去つたので、時人は智月が芭蕉の死期を予知したものと驚いた、宝永三年歿す、年七十四、
鴬に手もと休めむ流しもと
おろ/\と向へば月の御光哉
手をついて月さしのぞく松の間
などよく知られた句である。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)