善教房物語
ぜんきょうぼうものがたり
画題
画像(Open)
解説
東洋画題綜覧
ここから絵巻の名、善教房といふ僧が、一般衆生の中にあつて、日常の生活のうちに浄土門の教を問答体で説くといふ物語。
詞書を画面の中に書き込み、対話までも散らし書に書いた形式に於て、徳川時代の草さう紙類と共通してゐるのが此の絵巻の特色で古き箱書に、後光厳院宸翰草紙とのみあつて題名も筆者も伝はらず、その詞書により善教房といふ僧、俗家に来て仏道につきさま/゙\の問答をするといふ内容によつて近頃題名を附せられたのである、製作年代は詳かでないが詞の書風により考へても鎌倉末か南北朝頃のものであらう、筆致稚拙の中に妙味に富み高雅の風がある、一見画稿の如きもやはり完成の作であつて凡手ではないが名ある専門家の筆になつたものではない。 (絵巻物小釈)
いま京都の西脇済三郎氏の所蔵である。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)