忍冬
すいかずら
画題
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解説
東洋画題綜覧
忍冬科に属する纒繞性植物で、五月下旬花を開く、金銀藤、老翁鬚、鴛鴦藤、鷺鷀藤、左纒藤、通霊草、金釵股、蜜桶藤などの異名や雅名がある。
すひばな(土佐)ちゝばな(上総)ちつこばな(同上)しひばなかづら(熊本)すひ/\かづら(播磨)すひばなかづら(出雲)ぼさつかづら、ゑひかつら、にんとう等の異名方言あり、漢名を忍冬と称す、山野に自生する多年生の纒繞植物にして微毛を有し、下部は木質なり、葉は対生、卵形或は楕円にして先端鋭ならず、或は二三に浅く分岐するものあり、或は殆ど円形なるものあり、初夏葉腋に花あり、白色にして長さ寸許の細管を有し、末は深く分れて二唇となり、上唇は四つに浅く分れ、下片は狭くして分れず、内は五雄蕊一雌蕊あり、此花蕾の時は淡紫色を呈し、初めて開くときは白色に微紫を帯び日を経て白変し、後また黄変し、終に深黄に変じて枯落す、斯くの如く一枝中に黄白相映ずる故に金銀藤(青蒲県志)金銀花草(郷薬本草)等の別称あり、花に蜜及び芳香を有す、地方により小児花をとりて蜜を吸ひ乳汁に擬してちゝぐさ、ちゝばな等と云ふ、此草又冬葉を有する故に忍冬と謂ふなり。
嫩葉及び花をとり煠熟し度々水をかへ浸し塩味噌にて調へ救荒時の食料とす、葉はまた乾かして茶の代用となし、花を以て忍冬酒を作り又蜜を採る、薬用植物なり。 (食用植物志)
蚊の声す忍冬の花の散るたびに 蕪村
忍冬の花うちからむくまでかな 白雄
忍冬に眼薬を売る裏家哉 子規
見る人のみるものにせよ金銀花 暁台
此の草古くから『忍冬からくさ』として模様に画かるゝもの多い。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)