文室綿麻呂
ふんやの わたまろ
画題
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解説
前賢故実
大納言從三位智努王の孫。從四位下勲二等三緒朝臣大原の子。大同四年、帝の恩賜により姓を三緒から三山朝臣、次いで文室真人へ改めた。同五年、平城上皇が寵愛する女官のいうことを信じて、挙兵のため東国へ行こうとしたとき、諸司および近衛兵たちが皆随従して行った。これを知った天皇は、大納言坂上田村麻呂を遣わして、精兵を率いさせ美濃道から上皇を阻止しようとした。田村麻呂は、「綿麻呂は勇敢な武士として、辺境での戦を多く経験し功績をあげた者だ。綿麻呂の同行を希望する。」と奏請した。すると、天皇は綿麻呂に正四位上を授け参議に任命、綿麻呂の同行を認めた。しばらくして大蔵卿になり、陸奥、出羽按察使を兼任した。後に中納言兼右近衛大将、從三位勲四等にまで累進した。弘仁十四年薨去、享年五十八歳。
(『前賢故実』)