二桃三士
にとうさんし
画題
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解説
画題辞典
二桃三士は支那の故事なり、齊景公の麾下に公孫接、田開彊、古冶子の三勇士あり、功を恃みて互に悪し、景公之を嘆く、晏子曰く三士に二桃を遣はし功に応じて取らしむベしと、景公その如くす、公孫接先づ曰く、吾れ虎を撲つ、誰か之に勝るものあらんと一桃を取る、次に田開彊曰く、吾れ三軍の敵を卻く、即ち一桃を取る、古冶子最後に曰く、吾が君川を波る時巨亀襲来已に危うからんとす、吾れ入りて之を助く、我に勝るものあるやと、二人古冶子が忠に恥ぢて自殺す、冶子曰く二人を殺して吾れ獨り生きんやと後自殺す、之を二桃三士と称す。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
二桃三士は支那に於ける有名なる故事である、狩野一渓の『後素集』に曰く
斉景公に公孫接、田開強、古冶子と曽子二人あり、功を頼て悪をなす、景公是をなげき給時、晏子が曰、三人に桃二つをつかはして、功に応じてとらしめ給へと云時、景公是に随ひて、桃二を取出し給、一番に公孫接が曰、吾虎を手うちにす、是にまさるものあらんとて一桃をとる、二番に田開強が曰、吾三軍の敵をおひしりぞくと云て又一桃をとる、古冶子が曰、君川を渡り給時、亀におそれて已に危かりしを、我川に飛び入り、左手に君の馬を引、右手にて亀を害し岸にあがる、我にまさるものあらんと云時、公孫田開ともに古冶子が忠におとることをはぢて二人ともに自害す、古冶子亦二人をころして我一人いけらんことをはぢて共に自害す。
これを二桃三士といふ。好画題たり。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)