唐獅子
からしゝ
画題
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解説
画題辞典
猛獅の、実在のものよりも更に多く装飾化せしめたるものを俗に唐獅子と称す。其形容美にして麗ならず、勇猛にして威厳あり、桃山時代に於て最も喜ばれたるは時代の風趣に合致せる故なるべし。配するには多く牡丹花を以てし、「牡丹に唐獅子」は「竹に虎」と相対して用いらる。徳川時代に入りて、日光東照宮を始め神社内殿の壁画として最も多く画かる。その最も知られたるもの左の如し。
御物狩野山樂筆屏風一雙、狩野探幽筆(日光東照宮内殿)、狩野探幽筆屏風(池田侯爵旧蔵)、俵屋宗達筆襖絵(京都養源院襖国宝)、酒井抱一筆屏風(別府金七氏蔵)。最近には、下村観山、今村紫紅等の筆に成るものあり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
東洋画に描かれる特殊な形態の獅子である、唐獅子の根元を探ると、古代支那に中央亜細亜から獅子が輸入されたのを、当時これを写生し世に伝へられたのであるが、時代を経るに従つて後世人の想像や技巧が加へられ今日見るやうな唐獅子となつたわけで、支那に獅子の輸入されたのは漢の章帝の時で、その後順帝の嘉陽二年疎勒国から獅子を献じたこと後漢書に見える、降つて唐の貞観九年にも獅子が渡来して閻立本がこれを写生したといふ俗説もある。 (芸術資料)
唐獅子の名作左の通り。
狩野永徳筆 『獅子屏風』 帝室御物
雪舟筆 『連獅子』 小堀鞆音氏旧蔵
宗達筆 『杉戸唐獅子』 京都養源院蔵
無款 『唐獅子図』 川合玉堂氏蔵
尾形仲由筆 屏風 黒田侯爵家蔵
岸連山筆 屏風 岡本八造氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)