邯鄲炊夢
かんたんすいむ
画題
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解説
画題辞典
唐の開元七年、魯生という一少年あり、楚国の君賢オを求むと聞き、恩爵を貪らんと之に赴く。途上邯鄲の旅亭に憩い、此に道士呂翁に会す。呂翁之を悟り、青磁の枕を与えて少年を臥せしむ。時に舍主は翁の傍にありて黄粱を炊く。少年寝ねたるに、夢に高官に登リ子孫皆顕達し、齢八十を重ぬと見て、始めて覚む。其の時黄粱の尚、未だ熟するに至らざりしという。此枕を邯鄲の枕と称す、
古くは明の朱端が筆に成るもの(菊池晋二氏所蔵)あり、近くは渡辺崋山死に先づ数日、此図を作りて邯鄲炊夢図と名つけ、一身の栄枯畢竟枕頭一片の夢に過ぎざるの意を示して親族故旧を戒めたること有名なる逸事なり。その図は亦崋山一代の傑作にして今原六郎氏の有に帰す。
(『画題辞典』斎藤隆三)