笠森おせん
かさもりおせん
画題
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解説
画題辞典
笠森お仙は明和年間に於ける江戸有名の美人なり。蜀山人が、「半日閑話」明和六年の条に。谷中笠森稲荷地内水茶屋お仙(十八歳)美なりとて人皆見に行く。家名鍵屋五兵衛という。錦絵の一枚絵、或は絵草紙、双六、読売等に出る、手拭に染る。飯田町中坂世継稲荷開帳七日の時、人形にも作りて奉納す。明利五年五月堺町に中島三甫蔵がせりふに、「釆女ヶ原に若紫、笠森稲荷に水茶屋おせん」と、是よリしてます〳〵評判あり。其秋中村松江お仙の狂言あり、大当り。お仙を詠ぜる狂詩数首あり、その一例を挙ぐれば左の如し「参詣群集笠森辺、始見正真弁財天、老若拝飲一杯茗、於花団子是於千」
鈴木春信画く所、その数二三にして足らず。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
江戸谷中笠森稲荷前の茶屋鍵屋の女、容貌秀麗、浅草の柳屋お藤、蔦屋お芳と共に明和頃の江戸三美人と称せられた。お仙の美貌に思を寄せたもの数々あつたが応ぜず、その許嫁の士某に嫁した。 (名女伝)
谷中笠森稲荷地内水茶屋お仙(十八歳)美なりとて人皆見にゆく、家名鍵屋五兵衛といふ、錦絵の一枚絵、或は絵草紙、双六、読売等に出る、手拭に染る、飯田町中坂世継稲荷開帳七日の時、人形にも作りて奉納す明和五年五月堺町に中島三甫蔵が、せりふに『采女が原に若紫、笠森稲荷に水茶屋おせん』と是よりしてます/\評判あり、其秋中村松江、お仙の狂言あり、大当り。 (蜀山人半日閑話)
笠森おせんを画いたもの、鈴木春信の作が世に名高い。なほ左の作がある。
一筆斎文調筆 (重美) 斎藤報恩会蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)