博物館学への招待

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よい展覧会が少ないのは、主催者だけの責任ではない。ある文学研究者が、四分の三が未刊のままになっているのに文学史を書くと主張したら、何といわれることだろう? 美術界では、それが実情なのである。美術界は、美術界のグーテンベルグ、さもなければ、絵画のためにもっと手軽で安価な複製手段を発明してくれる美術界のディドーの出現を待っている。(中略)大々的な出版キャンペーンによって、未知の絵画を世間に公表しない限り、美術史は、ヴァザーリ風の美術家列伝や無駄に繰り返される個別研究の類の、幼稚な教養の域を出ないであろう。

(「博物館学への招待」Luc Benoist 1971, 水嶋英治・訳, 白水社 2002)