あやめ草

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一 女形は色がもとなり。元より生れ付てうつくしき女形にても、取廻しをりつぱにせんとすれば色がさむべし。又心を付て品やかにせんとせばいやみつくべし。それゆへ平生を、をなごにてくらさねば、上手の女形とはいはれがたし。ぶたいへ出て爰はおなごのかなめ処と、思ふ心がつくほど、男になる物なり。常が大事と存るよし、さい/\申されしなり。


一 所作事は、狂言の花なり。地は、狂言の実なり。所作ごとのめづらしからん事をのみ思ふて、地を精出さぬは、花ばかり見て実をむすばぬにひとしかるげし。辰之介など上手は上手なれども、此場の工夫なき様に覚えぬ。花のさくは実をむすぶ為なれば、地を慥にして花をあしらへと、若き女形へ度々異見せられし。